驚くべき肋間筋

このビデオレクチャーでは、ギル・ヘドレー先生が実際のご献体で剖出された外肋間筋と、内肋間筋を説明して下さいます。

Gil Hedley博士のYoutubeレクチャーシリーズ(閲覧無料)日本語字幕付き

Your Amazing Intercostal Muscles – Anatomy with Gil Hedley

Youtubeに直接アクセスし、CCから日本語字幕を選択して下さい。(閲覧注意)

このビデオレクチャーでは実際のご献体の解剖映像が使われていますので、苦手な方は避けて下さい。

施術時に肋間筋を意識したことがあるでしょうか。筋肉、腱、筋膜等の軟組織に焦点を当てたセラピストは肋間筋を意識することはあまりないと思います。

肋間筋を見たことがあるでしょうか?人体解剖ビデオを見ても専門医でない限り、肋間筋に注意を払う方は少ないのではないでしょうか。

このビデオレクチャーでは、ギル・ヘドレー先生が実際のご献体で剖出された外肋間筋と、内肋間筋を説明して下さいます。先生は外肋間筋と内肋間筋の間にペリファシア(間質筋膜?)が存在し、差動(differential movement)を許していることを指摘されています。

インテグラル・アナトミーの1週間または10日の解剖実習コースでは、鎖骨を外した後、肋骨を両脇で切断し、胸郭の前面をはずして、胸腔内を観察するというプロセスを取ることが多く、外肋間筋だけを剖出し、内肋間筋との線維方向の違いを詳細に見るということはあまりありません。

(話しは逸れますが、胸郭の前面を内側から見たことがあるでしょうか。何度見ても美しいものです。)

ギル・ヘドレー先生は完全な胸郭を手で押すことにより、呼気の胸郭の動きを再現し、手を離すと自然なリバウンドにより、胸郭が膨らみ、空気が肺に入る(吸気)様子をデモンストレーションしてくださいます。これが、モデル(二次元でも三次元でも)を使った学びと実際のご献体を使った解剖実習の学びの違いと言えるのではないでしょうか。

肺自体の動きは、Exquisite Lungs Breathing: Learn Integral Anatomy with Gil Hedley でごらん下さい。(字幕は付いておりませんがビジュアルのみで十分かと思います。)

ヘドレー先生は解剖のプロセスを詳細に記録したビデオをアーカイブ化しています。www.gilhedley.comで会員登録(有料:月額15ドル)してください。

腕神経叢—首を大事に:ギル・ヘドレーと学ぶ統合解剖学

このビデオでは、ギル・ヘドレー先生が首の神経・血管と周囲の筋肉の複雑な関係を紹介しています。マニュアルセラピストやボディワーカー(または首に興味のある人)には必見の内容であり、この短いレッスンを通じて腕神経叢の驚くべき構造と周囲の関係を理解することができます。

Gil Hedley博士のYoutubeレクチャーシリーズ(閲覧無料)日本語字幕付き

Brachial Plexus – Respect Your Neck: Learn Integral Anatomy with Gil Hedley

Youtubeに直接アクセスし、CCから日本語字幕を選択して下さい。(閲覧注意)

このビデオレクチャーでは実際のご献体の解剖映像が使われていますので、苦手な方は避けて下さい。

ギル・ヘドレー先生は人体に関心を持ち、ロルファーの資格を取得されていますので、しばしばマニュアルセラピストの視点から解剖学を説明して下さいます。

このビデオレクチャーをごらんになる前に、ヘドレー先生独特の言葉の使い方を少し説明したいと思います。先生は解剖学者であると同時に、詩人、哲学者でもありますので、詩的な用語を使って解剖学をわかりやすく説明して下さることがしばしばあります。

タマネギ+樹モデル

先生は人体を説明する時に、Onion-Tree Modelというコンセプトを使われます。これは人体がタマネギのように層になっており、先生の解剖実習では、この層(レイヤー)をひとつの全体的構造として一枚一枚剖出していくという過程が行われます。

しかし、タマネギの層には中心から樹木のように神経、血管、リンパ管等が表面まで伸びています。先生はタマネギの層と枝を伸ばす樹木の両方のイメージを組み合わせたコンセプトで人体を説明しています。

このビデオレクチャーでは先生は「心臓の樹」(Heart Tree)、「神経の樹」(Nerve Tree)という言葉を使用して、神経血管系の道筋を説明しています。

頸部の施術をするときに

頸部の話しをするときに、ヘドレー先生はまず腕に注意を向けるように促されます。神経という「樹」の枝、血管という心臓の「樹」の枝は指先まで伸びています。腕には正中神経、尺骨神経、橈骨動脈と尺骨動脈が通っていますね。ビデオではこれらの神経血管がきれいに剖出されており、これを上(近位)にたどっていくことで、神経血管系がずっとつながっていることを肌で理解してもらえるようにしています。神経をさらにさかのぼって行くと、有名な腕神経叢に達します。

複雑な腕神経叢の名前を覚える必要は今はありません。心臓の「樹」と神経の「樹」が枝分かれする様子に気づき、どのような道筋をたどっているかを観察してください。

小胸筋の下、大胸筋の下、鎖骨の下を通っていますね。これらの神経血管の枝は頸部から枝分かれしています。つまり、あなた腕は首から始まっているのです。

神経の樹の大きな枝が頸椎からでています。その側には太い動脈と動脈が通っています。腕神経叢の束は前斜角筋と中斜角筋の間から出てきます。

前斜角筋の近くには頸静脈、迷走神経、頸動脈が通っています。すべて首の外側を通っていて、指先を当てれば簡単に感じることができます。

ボディワーカーの方はクライアントが「首が凝っている」と訴えると、「じゃあ首をほぐしましょう」と力を入れることはありませんか。その前に、これらの重要な神経や血管がそこを通っていることを意識し、配慮することが必要です。

筋膜は伸びるのでしょうか?

Gil Hedley博士のYoutubeレクチャーシリーズ(閲覧無料)日本語字幕付き

Does Fascia Stretch?: Learn Integral Anatomy with Gil Hedley

Youtubeに直接アクセスし、CCから日本語字幕を選択して下さい。

筋膜(ファシア)は伸びるかどうか。つまり筋膜をストレッチすることができるかどうかという議論があります。このレクチャーでは30年近く筋膜に重点を置いた解剖を行ってきたギル・ヘドレー先生が腸脛靱帯(ITバンド)の実際の映像を使って説明して下さいます。

Fasciaは日本語で筋膜と訳されているために、筋を取り巻く膜であるとの誤解がありますが、浅在筋膜(superficial fascia)は真皮の下側にある脂肪組織を含む疎性の結合組織を指します。ヘドレー先生の解剖ビデオ(無料:日本語字幕付き)を参照して下さい。誤解を避けるために「ファシア」という英語標記を主として使用します。

ファシアをストレッチすることができるという説も、ファシアをストレッチすることはできないという説もあり、どちらも自説を譲りません。

ファシアがストレッチするかどうかについて論ずる前に、ファシア(筋膜)とは何を指しているのか、ストレッチ(伸びる)とはどういう状態をさしているのかを考えてみましょう。

たとえば、コットン(綿)はストレッチするでしょうか。コットンの線維を1本手に取って引っ張ってもさほど伸びませんが、綿のTシャツは1本の繊維だけでできていいるわけではありません。

コラーゲン線維1本はファシアでしょうか。違いますね。ファシアは複数のコラーゲン線維と基質と細胞が組み合わさってできています。

私のシャツが綿の線維1本でできているのではなく、複数の綿の線維で織られてできているのと同じです。

綿の線維1本を引っ張ってもたいして伸びないかもしれませんが、綿のTシャツは引っ張るとかなり伸びますね。

それではファシア(筋膜)は伸びるのでしょうか?

ファシアがどのように伸びるかは、コラーゲン線維の「織り目」(weave)によります。また、引っ張る方向にも左右されます。

ギル・ヘドレー先生が「ペリファシア」(perifascia)と呼んでいる種類のファシアの線維はフエルト状の「織り目」で構成されおり、特定の方向に走っているのではないので、様々な方向に動くことができます。

ペリファシアとは周辺にあるファシアという意味で、体内で差動(隣合う構造がスライドするように動くこと)を可能にする接触面を構成する膜質のファシアです。ペリファシアについての詳細は別のレクチャーをごらん下さい。

日本語では筋周膜と呼ばれるものに当たると思います。隣接筋との間にある薄いフィルム状の層で、伸縮性があるため、筋は隣接する筋肉から独立して収縮することができます(differential movement)。滑性であるため、筋肉はスライドするように動きます。

ファシアの種類によってはよく伸びるものもあります。浅存筋膜(Superficial Fascia)/皮下筋膜はとてもよく伸びます。たとえば腕の皮下筋膜と真皮はつまみ上げることができますね。

深在筋膜(Deep Fascia)はどうでしょう。ディープファシアは密性結合組織の膜で、コラーゲン線維の密度が高く、規則正しく並んでいます。

最もよく知られているのが腸脛靱帯(ITバンド)ですね。これは太ももの外側にある分厚い筋膜で、長いコラーゲン線維が上下に走っています。横の方向にも線維は走っていますが、縦方向ほど密ではありません。このITバンドの「織り目」の上(浅)側と下(深)側には複数の線維束がさまさまな方向に走っています。

ITバンドは縦の方向に引っ張っても伸びません。筋肉を縦の方向に安定させているので、伸びたら大変なことになります。しかし、太ももの円周方向には伸びます。だから、大腿四頭筋が収縮して、盛り上がることができるのです。

縦の線維と線維の間の距離が広がることによって、横方向に伸びるのです。顕微鏡で拡大してもると、横のコラーゲン線維は直線ではなくアコーディオン状になっていることから、横方向に「伸びる」ことができるのです。

ギル・ヘドレー先生のビデオレクチャーの末尾には、実際のITバンドに負荷をかけて、線維の間隔が変わる様子を顕微鏡で撮影した画像が掲載されています。