コロラド州のInstitute for Anatomical Researchで2023年8月21日から実施されているギル・ヘドレー先生の統合解剖学6日間+4日間の解剖実習ワークショップに参加しました。今年は、ワークショップの開催は3回で、Fixed(薬剤による防腐処理を施した)ご献体を使用するものが1回、Unfixed (薬剤を使用せずに低温保存した)ご献体を使用するものが2回でした。
今回のワークショップはunfixedの4体のご献体を1体につき5〜6人で6日間解剖した後、残りの4日間は骨格と内臓に焦点を当てるものです。後半で骨格全体の観察を行うため、前半では関節包は温存します。
1日目の午前中はオリエンテーションで統合解剖学で解剖実習を行うための心構えについて、ギル・ヘドレー先生からお話しがありました。先生の解剖実習の基本は、「ご献体は私たちに学んで欲しいと願うドナーとその家族からの贈り物である」という感謝の気持ちを持つことです。先生はご献体を「ティーチャー」と呼んでいます。

ご献体の冷蔵保存室は教員ラウンジと呼ばれています
参加者約二十数名の多くがリピーターです。海外からの参加も珍しいことではありません。今年はシンガポールを拠点とし、世界中で解剖学にのっとったYinyogaのワークショップを行われているJoe Phee先生が参加されました。参加者の職業は、ヨガ、ピラティスのインストラクター、ロルフィング、KMI等のストラクチャーインテグレーター、カイロプラクター(アメリカではドクターの資格です)等でした。

毎朝、解剖実習の前に隣接する教室で前日の経験についてや、考察についてディスカッションが行われます。人体解剖が初めての参加者にとっては、精神的な影響が大きいこともあるので、自分の感じたことを表現する場所を持つことは非常に重要です。
様々な専門分野で経験豊かな参加者が考察を交換することにより、分野外の気づきを持つ機会でもあります。
初日には安全に解剖を行うためのルールや、Scalpel(外科用メス)の使い方の指導があります。解剖はHemostat(止血鉗子)とメスを使って行います。

解剖時は手袋の着用が必須ですが、厚めのNitrite製のものがおすすめです。メスの刃の取扱には細心の注意が必要です。
先生は、メスを使うときには、1,2の例外を除いて必ずヘモスタットで組織を掴むように、と指導していますが、今回、私はこのルールを一瞬忘れたために、指を切りました。軽い切り傷でしたが、衛生上のリスクとなります。
私が切り傷の処置をしていると、先生が「何をしていて切ったのか」と言われたので、「先生の説明を無視してしまいました」と反省しました。この問答は、実践教育として重要な過程です。気をつけていてもアクシデントは必ず起きますが、何をしたらケガをするかを、実践で頭に叩き込むことが重要です。
(つづく)
