呼吸と肺の精緻な動き:ギル・ヘドレー博士と統合解剖学を学ぶ

統合解剖学の解剖実習の際に、しばしばご献体の肺が呼吸している状態でどのように動くかのデモンストレーションが行われます。肋骨前面を取り除いた状態で行うこともあれば、肋骨はそのままで、肋骨間の筋を除去し、「窓」を開けた状態で行うこともあります。

原理的には器官に管を通して、肺に空気を送ります。初めてこれを実際に見た人は、言葉を失うほどの感動を覚えると思います。私は実習に立ち合うたびに、このデモンストレーションを見ましたが、肺の状態による動きの違いに驚かされます。下記のリンクのビデオでは、かなり健康で美しい肺の動きを見ることができます。字幕はついていません。音声を消して動きにのみ集中してみてください。(当然ながらご献体の映像です。閲覧注意)ご覧になった後に、ためになったら、日本語で大丈夫ですので、コメント入れてあげてください。ヘドレー先生が喜びます。

Exquisite Lungs Breathing: Learn Integral Anatomy with Gil Hedley

真っ黒になった喫煙者の肺ときれいな肺を並べた映像を見たことがある方は多いと思います。非喫煙者でも大気汚染のある場所で人生を過ごした高齢者の肺には微細な黒いパターンが見られます。吸い込んだ微粒子が沈着したものです。胸膜が肋骨に癒着している肺は、肋骨前面を外す際に、胸膜がはがれるバリバリという音がします。本来は呼吸に合わせて滑るように動かなければならない肺の動きが阻害されています。慢性閉塞性肺疾患(COPD)の肺は一目でわかるような病変があり、この状態で呼吸することがいかに困難かを想像することができます。

専門の医師以外は直接見ることのない様々な状態を実際に観察することができるのも、解剖実習による学びの重要性です。

解剖学研究所の第1回オンラインサミット開催

Gil Hedley先生のホームベースであるコロラド州の解剖学研究所Institute for Anatomical Researchが2024年5月24-26日の3日間にわたり、オンラインサミットを開催します。英語のみですが、ファシア関係の研究で著名な先生方や、ファシアをボディワークに取り入れて独自のシステムを開発し、世界的に有名な方が数多く出席されますので、英語が分かる方には、ファシア研究をめぐる最新の動向をキャッチするのに最適の機会と思います。

参加費は1日25ドルからで、収益は非営利団体である研究所の設備投資や運営に充てられます。ぜひご協力下さい。

下のスピーカー以外にも、著名な方が次々と参加を表明して下さっています。スピーカーの多くはファシア学会に関与されている方々なので、ファシアに興味のある方にとっては1度に皆さんのお話を聞いて、今欧米で何が起こっているかを知る絶好の機会になると思います。

申し込みは:https://www.anatomicalresearch.org/events/online-anatomy-summit-fundraising-event-2024-05-26-10-00 から。

ゲストスピーカー:個人的に知っている方と実習中によく名前をきく方のみ日本語で説明します。

正式なプロフィールは以下のウェブサイト(英語のみ)で見てください。

https://www.anatomicalresearch.org/about-5

https://www.anatomicalresearch.org/copy-of-friday-guest-speakers

https://www.anatomicalresearch.org/copy-of-saturday-guest-speakers

Bonnie Thompson
コロラド解剖学研究所の創設者であるボニー・トンプソン先生はマッサージセラピストとして1994年にGil Hedley 先生の解剖実習ワークショップを受講して以来、ボディワーカーもアクセスできる解剖研究施設の必要性を感じ、非営利のコロラド解剖学研究所を創設しました。何度もお会いしましたが、パワフルで解剖学教育に情熱を持たれている方です。

Joe Phee
ジョー・フィー先生は日本でも有名な陰ヨガのインストラクター講座を世界中で開いています。彼女は中国医学の知識と、西洋の解剖学の知識を組み合わせたヨガプラクティスを実践されています。Gil Hedley先生の解剖実習ワークショップの常連として、何度もお会いしましたが、知識を得ることへの情熱にあふれた方です

Lauri Nemetz
ローリ・ネメツ先生は複数の大学で解剖学の教鞭をとっており、最近ファシアと運動についての著書も出版されています。ドイツのグーベンで行われたファシア・ネット・プラスティネーションプロジェクトにも関与し、独自の解剖実習ワークショップも主催されています。Hedley先生のワークショップで何度かお会いしましたが、素晴らしい解剖の技術です。日本人の生徒向け解剖実習を指導した経験もあります。

Leslie Kaminoff
レスリー・カミノフ先生は世界的に著名なヨガ指導者で、世界中でワークショップを行われています。日本語でも出版されているヨガ解剖学の本の著者でもあります。カミノフ先生はヨガと呼吸ついての深い洞察を持たれており、非営利のブリージング(呼吸)・プロジェクトの創設者でもあります。カミノフ先生はネメツ先生といっしょにヨガに焦点を当てた解剖実習ワークショップを実施されています。Hedley先生の解剖実習ワークショップで何度もお会いしましたが、かなりな日本通です。

Carla Stecco
カーラ・ステッコ先生は、ヨーロッパのファシア研究の第一人者であり、日本のファシア研究でも彼女の研究がしばしば引用されています。主にヨーロッパで解剖ワークショップを実施されております。

Dr. Joe Muscolino
ジョー・マスコリーノ先生は手技施術者のためのオンライン教育コースを構築されており、ひとつひとつの筋について、イラスト、実際の解剖画像、モデルを使って包括的な情報を提供されています。私はオンラインコースの日本語字幕作成を担当していますが、非常に緻密で正確な指導をされています。著書も多数あり、世界各国でワークショップを開催されています。

Dr. Madhav Gramke
マダブ・グラムケ先生はGil Hedley先生に師事するためにコロラドに移住されました。私は共にA2Zプロジェクトと神経解剖プロジェクトに参加し、ご自身の解剖実習ワークショップも開催されています。背骨のアナトミーに非常に詳しく、素晴らしい知見を持たれています。

Jim Pulciani
ジム・プルチアーニ先生は解剖研究所の所長で、鍼灸師でもあります。先生の解剖スキルには素晴らしいものがあります。東洋医学と西洋医学の両方の視点から、施術を行われています。朗らかな人柄で、研究所をささえています。

Rachel Scott
レイチェル・スコット先生はヨガインストラクターの教育コースを作成している、いわばヨガの先生の先生の先生で、解剖学的知識に基づいたヨガ指導をされています。私は、スコット先生のヨガ教師指導用教材の日本語翻訳を担当してますが、自分のヨガが格段に上達しました。

Hedley先生の北米111都市神経系解剖研究プレゼンテーションツアー

現在Gil Hedley先生はアメリカとカナダの111都市を回りながら、2023年に実施した神経系解剖のプレゼンテーションを行っています。このプレゼンテーションは医師はもちろん、手技施術を行うすべてのプロフェッショナル、ヨガ、ピラティス等のインストラクターを対象としており、免許更新のための条件となるContinuing Educationの単位も取得できます。さらに、「身体を所有しているすべての人」にお勧めです。

わたしは2023年の3月末に1週間神経解剖プロジェクトのお手伝いに参加しましたが、目からウロコが落ちる体験でした。ちょうど迷走神経を心臓から肺までたどっている段階でした。

円安の時代なので、渡米してまで参加されるのは難しいかもしれませんが、いつか機会があれば、ヘドレー先生を日本に招待して、日本でプレゼンテーションをする機会をセッティングしていただける方がいらっしゃることを切に望んでおります。

神経系の実際の解剖フッテージというのはなかなか見つかりません。また複雑な神経叢については、ダイアグラム化した図はお馴染みですが、実際の人体のイメージはそれほど多くありません。

Hedley先生のプレゼンテーションでは解剖の過程で次の神経がカメラで撮影されています。

  • 髄膜、脳神経
  • 皮神経
  • 自律神経の複雑な分岐
  • 神経叢とその神経節
  • 迷走神経の経路全体
  • 尾骨までの交換神経幹
  • 頸神経叢
  • 上腕神経叢
  • 腰神経叢
  • 仙骨神経叢

見てみたいと思いませんか?

ツアーについてはhttps://www.gilhedley.com