コロラド州のInstitute for Anatomical Researchで2024年5月6日から実施されているGil Hedley先生の統合解剖学6日間の解剖実習ワークショップの2日目は、Hedley先生がSuperficial Fasciaと呼んでいる層の観察と解剖と行いました。
最初に、先生からヨーロッパの解剖学の伝統による名称と英国の解剖学(グレイ解剖学)の伝統に基づく名称の違いの説明がありました。統合解剖学では皮下脂肪層をSuperficial Fasciaと呼ぶのに対して、カーラ・スタッコ先生を代表とするヨーロッパの解剖学では、Superficial Fasciaは皮下脂肪層の中にある膜状の組織を指し、それ以外は「脂肪」として認識するとのことでした。混乱を防ぐために、Hedley先生は欧州の伝統によるSuperficial Fasciaを指すときは、「カーラ・スタッコのファシア」と呼んでいます。学派による呼び方の違いをあらかじめ理解しておくことにより、混乱が防げます。
今回の実習のご献体は2体ともFixed(薬剤による防腐処理を施した)Cadaverですが、興味深いことに「キング」と参加者が名付けたご献体は、soft fixと言われる薬剤による固定が緩いもので、unfixed cadaverに近い質感が残っていました。薬剤の量、薬剤が浸透するまでの時間等により差が出るとのことでした。
統合解剖学ではSuperficial Fascia/皮下脂肪層を人体における重要かつ最大の器官であるととらえています。緩衝、保温といった物理的な役割に加え、レプチンを分泌する内分泌器官、無数のリンパ管が張り巡らされたリンパ器官、多数の神経終末を含む感覚器官、と様々な役割を果たしています。
脂肪は小さな粒状(lobule)になっていますが、粒の大きさや形状は部位によって大きく異なります。1つの脂肪の粒の中にはさらに小さな脂肪の粒が詰まっており、強靱なマトリックスとなっています。からだの部位によって異なる皮下脂肪層の厚みや質感を感じることは、手技施術者にとって重要な経験となるでしょう。
解剖の詳細はHedley先生の統合解剖学Youtubeビデオをごらん下さい。このビデオは20年前のものですが、基本は同じです。
Integral Anatomy, V1 pt2: Skin & Superficial Fascia: Learn Integral Anatomy with Gil Hedley
日本語字幕つきです。
最新の解剖ビデオ(Anatomy from A to Z)はhttps://www.gilhedley.comから月額15ドルで会員登録することにより閲覧することができます。(こちらは英語のみです。)
(つづく)
