Gil Hedley先生の統合解剖学の解剖実習でHedley先生と一緒に解剖指導をしているチームメンバーのMadhav Gramke先生が,統合解剖学(Integral Anatomy)の視点からの脂肪組織の重要性についての考察をシェアしてくださいました。
Gramke先生は、海綿が脂肪組織の姿に似ているとして、次のように書いています。
脂肪組織への感謝 by Dr. Madhav Gramke
これは私が特に解剖学の授業でよく教えているテーマです。もっと多くの人とこの考えを共有するのも良いかもしれないと思い、ここに書いてみました。脂肪組織についての情報は役に立つし、興味深く、しかも統合解剖学の分野以外ではなかなか見つかりにくいものです。加えて、私たちの西洋文化には脂肪への強い嫌悪感があり、そのために本来素晴らしいはずのこの組織に対して、私たちは悲しいほどに洗脳されてしまっているのです。
機能的な観点から見ると、脂肪組織はあらゆる面で非常に重要な役割を果たしています。いくつか例を挙げてみましょう。
まず第一に、細胞外マトリックスを除くすべての細胞――筋肉細胞、神経細胞、上皮細胞、結合組織細胞など――は脂質を主成分とする膜で包まれています。そう、あなたの体のすべての細胞は、脂質分子がなければ存在できないのです。
もっと大きな視点で見ると、脂肪組織は他の多くの組織の周囲を包んでいます。神経血管束(筋肉や臓器に血液と命を運ぶ木のような構造)は、柔らかくしなやかな脂肪の毛布の中で快適に包まれることを好みます。(健康な個体では)小さな束には小さな脂肪の膜が、大きな束にはまるで川のような脂肪の流れがまとわりついています。体全体の表面は、実は脂肪を含んだ膜(浅筋膜)で包まれており、多くの筋肉はその深部に薄い脂肪のパッドを持ち、それが滑らかな動きを可能にする潤滑面として機能しています。これも脂肪が優雅な動きにどれほど重要かを示す一例です。
また、多くのホルモン機能も脂肪組織を通して媒介されます。脂肪が不足すると、そうした重要な機能が妨げられてしまいます。脂肪組織に存在するホルモン細胞は、(少なくとも)脳、心臓、腎臓と常に交信しており、その信号に大きく依存しています。ちなみに、脳そのものも主に脂肪でできているんですよ。
そして、浅筋膜、つまり皮下脂肪組織は、私たちの体の中で最大の感覚器官でもあります。皮膚の下にあるすべての感覚受容体は、この脂肪の層の中に存在しています。そしてこのふわふわの層こそが、私たちの体の官能的な形――胸やお尻、腰のラインなど――をかたち作っているのです(筋肉ではありません!)。美しい曲線のある体を愛するということは、脂肪を愛するということ。それを否定するのは、無知か、意図的な目くらまし以外のなにものでもありません。
昔の、そして賢明だった時代には、脂肪は価値あるものとして認識されていました。”fat of the land(豊かな大地の恵み)”のような表現が、当たり前のように使われていたのです。
これは脂肪組織を賞賛すべき理由のほんの一部にすぎません。脂肪を拒絶したり、恥じたりすることは、悲しく、誤解に基づき、役に立ちません。どうか、自分の体の心地よい柔らかさを喜んでください。その毛布のような層が薄くても厚くても、どちらでも。
もちろん、無限に脂肪を蓄積すればよいという話ではありません。自然はバランスを好みます。脂肪が少なすぎてもよくないし、多すぎればそれによる問題が起こることもあります。このバランスは、人それぞれまったく異なるのです。大切なのは、自分自身の基準やあり方の範囲の中で、バランスの取れた生活を送ることだと思います。
どんなあなたであっても、どんな体を持っていても、まずはその奇跡のような存在に対して愛と感謝から始めましょう。そしてその姿勢で、自分にとって意味のある人生を生きてください。







