統合解剖学における脂肪組織

Gil Hedley先生の統合解剖学の解剖実習でHedley先生と一緒に解剖指導をしているチームメンバーのMadhav Gramke先生が,統合解剖学(Integral Anatomy)の視点からの脂肪組織の重要性についての考察をシェアしてくださいました。

Gramke先生は、海綿が脂肪組織の姿に似ているとして、次のように書いています。

脂肪組織への感謝 by Dr. Madhav Gramke

これは私が特に解剖学の授業でよく教えているテーマです。もっと多くの人とこの考えを共有するのも良いかもしれないと思い、ここに書いてみました。脂肪組織についての情報は役に立つし、興味深く、しかも統合解剖学の分野以外ではなかなか見つかりにくいものです。加えて、私たちの西洋文化には脂肪への強い嫌悪感があり、そのために本来素晴らしいはずのこの組織に対して、私たちは悲しいほどに洗脳されてしまっているのです。

機能的な観点から見ると、脂肪組織はあらゆる面で非常に重要な役割を果たしています。いくつか例を挙げてみましょう。

まず第一に、細胞外マトリックスを除くすべての細胞――筋肉細胞、神経細胞、上皮細胞、結合組織細胞など――は脂質を主成分とする膜で包まれています。そう、あなたの体のすべての細胞は、脂質分子がなければ存在できないのです。

もっと大きな視点で見ると、脂肪組織は他の多くの組織の周囲を包んでいます。神経血管束(筋肉や臓器に血液と命を運ぶ木のような構造)は、柔らかくしなやかな脂肪の毛布の中で快適に包まれることを好みます。(健康な個体では)小さな束には小さな脂肪の膜が、大きな束にはまるで川のような脂肪の流れがまとわりついています。体全体の表面は、実は脂肪を含んだ膜(浅筋膜)で包まれており、多くの筋肉はその深部に薄い脂肪のパッドを持ち、それが滑らかな動きを可能にする潤滑面として機能しています。これも脂肪が優雅な動きにどれほど重要かを示す一例です。

また、多くのホルモン機能も脂肪組織を通して媒介されます。脂肪が不足すると、そうした重要な機能が妨げられてしまいます。脂肪組織に存在するホルモン細胞は、(少なくとも)脳、心臓、腎臓と常に交信しており、その信号に大きく依存しています。ちなみに、脳そのものも主に脂肪でできているんですよ。

そして、浅筋膜、つまり皮下脂肪組織は、私たちの体の中で最大の感覚器官でもあります。皮膚の下にあるすべての感覚受容体は、この脂肪の層の中に存在しています。そしてこのふわふわの層こそが、私たちの体の官能的な形――胸やお尻、腰のラインなど――をかたち作っているのです(筋肉ではありません!)。美しい曲線のある体を愛するということは、脂肪を愛するということ。それを否定するのは、無知か、意図的な目くらまし以外のなにものでもありません。

昔の、そして賢明だった時代には、脂肪は価値あるものとして認識されていました。”fat of the land(豊かな大地の恵み)”のような表現が、当たり前のように使われていたのです。

これは脂肪組織を賞賛すべき理由のほんの一部にすぎません。脂肪を拒絶したり、恥じたりすることは、悲しく、誤解に基づき、役に立ちません。どうか、自分の体の心地よい柔らかさを喜んでください。その毛布のような層が薄くても厚くても、どちらでも。

もちろん、無限に脂肪を蓄積すればよいという話ではありません。自然はバランスを好みます。脂肪が少なすぎてもよくないし、多すぎればそれによる問題が起こることもあります。このバランスは、人それぞれまったく異なるのです。大切なのは、自分自身の基準やあり方の範囲の中で、バランスの取れた生活を送ることだと思います。

どんなあなたであっても、どんな体を持っていても、まずはその奇跡のような存在に対して愛と感謝から始めましょう。そしてその姿勢で、自分にとって意味のある人生を生きてください。

Gil Hedley先生の神経解剖プレゼンテーション受講報告

2024年9月7日にマンハッタンで実施されたGil Hedley先生の神経解剖プレゼンテーションに参加しました。2023年に5ヶ月間にわたって実施されたご献体「Captain」の神経系統解剖プロジェクトをメインにした5時間にわたるプレゼンテーションでした。

クレニオセイクラルセラピー(頭蓋仙骨療法)の教育機関であるアプレジャー・インスティチュート、神経マニピュレーションのバラル・インスティチュート、ロルフィングのアイダ・ロルフ・インスティチュート、筋膜クレンジングテクニックのメルトメソッドの創始者スー・ヒッツマン先生を初めとするファシア関連の教育機関の支援を受けたGil Hedley先生の講義には、ほぼ口コミで数百人の聴講生が集まっていました。私が実習に参加したときのチームメートやアシスタントをしている時に知り合った解剖実習ワークショップの常連の参加者は、それぞれにファシア研究関連のワークショップを主催し、広い人脈を持っています。

Hedley先生がコロナ時に研究室に閉じこもり17ヶ月にわたって実施した「AからZまでの解剖学」プロジェクトと2023年の神経解剖プロジェクトでいっしょにアシスタントを務めたFauna Moore先生はファシア研究学会によりドイツのグーベンで行われたファシア・ネット・プラスティネーション・プロジェクトの立ち上げ時のメンバーの一人でもあり、ノースカロライナ州で解剖研究所で教育プログラムを担当されており、ファシア研究で著名なイタリアのカーラ・スタッコ博士のワークショップにも度々参加されています。Hedley先生の実習時に何度もお会いしたLauri Nemetz先生もファシア・ネット・プラスティネーション・プロジェクトに関与され、The Myofascial System in Form and Movement を出版されており、2014年から2021年までトム・マイヤーズのアナトミー・トレインズ解剖ラボでアシスタントを務められていました。彼女は日本からの学生グループを何度も教えた経験があるので、ご存じの方もいらっしゃると思います。現在はヨガ・アナトミーのLeslie Kaminoff先生と呼吸に重点を置いたヨガインストラクター向けの解剖実習ワークショップを主宰しておられます。他にもGil Hedley先生のIntegral Anatomy(統合解剖学)ファミリーのメンバーの見覚えのある顔が何人も見られました。

レクチャーの前半はご献体AnnaとZ、そしてJerryとGeorgeの解剖映像を使って、脳の構造の説明が行われました。先生はご献体を固有名詞(本名ではありません)やニックネームで呼ぶことにより、私たちが見ているものが、抽象的な人体構造ではなく、教育のためにご献体して下さった個人であることを強調され、その時に得られた学びに対して感謝の念を表明されます。個人的な気持ちですが、私がHedley先生の解剖実習だけに惹かれる理由はここにあると思います。

頭蓋骨の内側にある脳髄膜(硬膜、くも膜、軟膜)と脳脊髄液の関係と構造を示し、12の脳神経をひとつひとつポイントアウトして位置関係を説明されました。ご献体2体の脳を比較することにより、視覚的に、位置関係の理解がより深まりました。

ご献体Georgeの脳の画像を使い、脳の構造の説明がありました。構造の説明だけではなく、機能の説明や、右脳/左脳の認知パターンの違いついてのお話しや、下垂体や松果体の位置を自分の脳で見つけるエクセサイズなど、Hedley先生ならではの内容となりました。

実は私は解剖実習に参加したときに担当のご献体がGeorgeだったのですが、脳の解剖については全く記憶から消えていました。当時は、まだ脳や神経に関心がなく、筋肉にのみ集中していたのだと思います。自分に受け入れる準備が整っていないと、目の前にある知識を吸収することさえできない、ということを思い知りました。脳や神経に意識が行くまでに、10年かかったことになります。

10分間の休憩(実際はもっと長かったですが)をはさんだレクチャー後半では、5ヶ月間をかけたご献体「Captain」の神経解剖プロジェクトの全容が明らかになります。私は1週間だけのアシスタントでしたが、その一週間にHedley先生とアシスタントをしていたFauna Moore先生の解剖をひたすら観察し続け、–筋肉や骨格に焦点を当てたいつもの解剖とは全く異なる特殊でデリケートな解剖なので、すぐには始めさせてもらえませんでした–数日間ひたすらに縫工筋に至る細い神経の末端を少しずつ剖出する気の遠くなるようなプロセスを経験しただけだったのですが、一度そこにあることが分かれば、二度と無視できない、という先生の言葉通り、次に解剖実習に参加したときに、大腰筋の中を通る神経を、それが何という名前の神経かもしらないままに、きれいに剖出できました。なぜ今まで見えなかったのだろうと思います。

Hedley先生はまず皮神経を剖出して見せ、これが真皮、皮下組織、脂肪組織を通してどのように走行しているか、神経とリンパ管、静脈、動脈の関係、さらにファシアと神経の関係性、特に知覚神経の分布と病状の関係性についてのお話しがありました。

自律神経の剖出プロジェクトのプレゼンテーションはメインイベントです。特に迷走神経と腸神経はトラウマセラピストやホリスティックなセラピスト業界で今時ホットなトピックです。解剖学界隈では時代の寵児といえるような構造が時にふれ浮上します。10年以上前には解剖実習で大腰筋を見たがる参加者が多かったのですが、最近は迷走神経を見たいという声がしばしば聞かれました。

プロジェクト助手をした際には、Hedley先生は迷走神経(Vagus Nerve)を脳幹から心臓までたどる過程を迷走神経を剖出しながら撮影されていました。その時にはあまりに複雑で私の理解を超えていたのですが、あらためて順序だった説明を聞いて、理解が深まりました。Captainの迷走神経は何度も別の神経と吻合し、時に逆走しながら、神経叢を形成し、心臓に達していました。さらに、肝神経叢、上腸間膜神経叢を初めとする自律神経叢や神経節を深骨盤までたどり、交感神経と副交感神経の役割についての考察がありました。

レクチャーの最後は筋骨格神経叢ーー頸神経叢、腕神経叢、腰神経叢、仙骨神経叢–の剖出、同定、そして筋との位置関係についての詳細が明らかにされました。

ヘドレー先生はこれらの解剖学的な知見を、人体のパーツとしてではなく、人とは何か、人はこの世界とどのようにかかわっていけるか、という哲学的な視点を加えて提示していると感じました。

Hedley先生のレクチャーを視聴すると、ボディーワーカーにとって「人体」とのかかわり方が大きく変わることは確実です。機会があれば、ぜひ参加下さい。

Hedley先生を日本にお呼びして、このプレゼンテーションやファシアのプレゼンテーションをしていただくのが私の夢です。そのために日本語で発信する努力を今後も続けたいとおもいます。拡散、よろしくお願いいたします。

https://www.gilhedley.com/thenervetour

統合解剖学ワークショップ(2024)に参加しました。(その4)

コロラド州のInstitute for Anatomical Researchで2024年5月6日から実施されているGil Hedley先生の統合解剖学6日間の解剖実習ワークショップの4日目は、筋の展開(reflect)と、腹膜を切開し、腹腔内の内臓の観察、肋骨前面を切除して胸郭内の内臓の観察を行いました。

腹膜を切開する前に、腹筋の構造についての詳細な説明がありました。腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋、腹直筋のファシアの層の構造と腹膜の関係は複雑です。

参加者のなかにVisceral Manipulationを行うセラピストが複数いましたが、開腹して腹腔内の内臓を見ると、必ずといっていいほどショックを受けます。内臓の位置は個人個人で大きく異なり、解剖図の通りのご献体はほとんど存在しません。

Running the bowel という手法で、手で直腸からS字結腸、下行結腸、横行結腸、上行結腸とたどっていきます。ご献体「キング」のS字結腸は極端に長いことがわかりました。さらに、小腸をたどると、胃に近づいたところでY字に小腸が分かれていました。胃と十二指腸の間に何らかの問題があったため、膵臓から膵液を得る乳頭部を温存し、別の部分を胃につないだのではないかと思われます。

解剖の詳細はHedley先生の統合解剖学Youtubeビデオをごらん下さい。このビデオは20年前のものですが、基本は同じです。

Integral Anatomy, V2 pt2: Deep Fascia and Muscle: Learn Integral Anatomy with Gil Hedley

Integral Anatomy V3 pt2: Cranial and Visceral Fasciae: Learn Integral Anatomy with Gil Hedley

日本語字幕つきです。

最新の解剖ビデオ(Anatomy from A to Z)はhttps://www.gilhedley.comから月額15ドルで会員登録することにより閲覧することができます。(こちらは英語のみです。)

(つづく)

統合解剖学ワークショップ(2024)に参加しました。(その3)

コロラド州のInstitute for Anatomical Researchで2024年5月6日から実施されているGil Hedley先生の統合解剖学6日間の解剖実習ワークショップの3日目は、Deep Fasciaを取り除き、骨格への付着部を切除することなく、それぞれの筋を分ける(differentiate)作業を行います。

朝のミーティングで昨日のSuperficial Fascia層の解剖での個人の発見についてディスカッションが行われました。皮下脂肪層を切除していると、脂肪の中に筋繊維のようなものが見られることがあります。統合解剖学は肉眼解剖学であって、顕微鏡を使わないので、詳細は専門外ですが、皮下脂肪層の中に収縮性を持つ繊維が存在することが指摘されました。

頸部の解剖を参加者にデモンストレーション中の筆者

私は2日目から広頸筋を皮下脂肪層の中から剖出し、顔面から頸部にかけてsuperficial fasciaを取り除く解剖をしていましたが、耳下腺とその管、そして顎下腺をきれいに剖出するこができ、広頸筋を温存したまま、下の構造から剥がし、肩甲舌骨筋など、頸部の筋をデモンストレーションすることができました。Hedley先生は生徒に自分の行った解剖を説明させることにより、より深い学びの機会を与えてくれます。

解剖の詳細はHedley先生の統合解剖学Youtubeビデオをごらん下さい。このビデオは20年前のものですが、基本は同じです。

Integral Anatomy V2 pt1: Deep Fascia and Muscle: Learn Integral Anatomy with Gil Hedley

日本語字幕つきです。

最新の解剖ビデオ(Anatomy from A to Z)はhttps://www.gilhedley.comから月額15ドルで会員登録することにより閲覧することができます。(こちらは英語のみです。)

(つづく)

統合解剖学ワークショップ(2024)に参加しました。(その2)

コロラド州のInstitute for Anatomical Researchで2024年5月6日から実施されているGil Hedley先生の統合解剖学6日間の解剖実習ワークショップの2日目は、Hedley先生がSuperficial Fasciaと呼んでいる層の観察と解剖と行いました。

最初に、先生からヨーロッパの解剖学の伝統による名称と英国の解剖学(グレイ解剖学)の伝統に基づく名称の違いの説明がありました。統合解剖学では皮下脂肪層をSuperficial Fasciaと呼ぶのに対して、カーラ・スタッコ先生を代表とするヨーロッパの解剖学では、Superficial Fasciaは皮下脂肪層の中にある膜状の組織を指し、それ以外は「脂肪」として認識するとのことでした。混乱を防ぐために、Hedley先生は欧州の伝統によるSuperficial Fasciaを指すときは、「カーラ・スタッコのファシア」と呼んでいます。学派による呼び方の違いをあらかじめ理解しておくことにより、混乱が防げます。

今回の実習のご献体は2体ともFixed(薬剤による防腐処理を施した)Cadaverですが、興味深いことに「キング」と参加者が名付けたご献体は、soft fixと言われる薬剤による固定が緩いもので、unfixed cadaverに近い質感が残っていました。薬剤の量、薬剤が浸透するまでの時間等により差が出るとのことでした。

統合解剖学ではSuperficial Fascia/皮下脂肪層を人体における重要かつ最大の器官であるととらえています。緩衝、保温といった物理的な役割に加え、レプチンを分泌する内分泌器官、無数のリンパ管が張り巡らされたリンパ器官、多数の神経終末を含む感覚器官、と様々な役割を果たしています。

脂肪は小さな粒状(lobule)になっていますが、粒の大きさや形状は部位によって大きく異なります。1つの脂肪の粒の中にはさらに小さな脂肪の粒が詰まっており、強靱なマトリックスとなっています。からだの部位によって異なる皮下脂肪層の厚みや質感を感じることは、手技施術者にとって重要な経験となるでしょう。

解剖の詳細はHedley先生の統合解剖学Youtubeビデオをごらん下さい。このビデオは20年前のものですが、基本は同じです。

Integral Anatomy, V1 pt2: Skin & Superficial Fascia: Learn Integral Anatomy with Gil Hedley

日本語字幕つきです。

最新の解剖ビデオ(Anatomy from A to Z)はhttps://www.gilhedley.comから月額15ドルで会員登録することにより閲覧することができます。(こちらは英語のみです。)

(つづく)

統合解剖学ワークショップ(2024)に参加しました。(その1)

コロラド州のInstitute for Anatomical Researchで2024年5月6日から実施されているGil Hedley先生の統合解剖学6日間の解剖実習ワークショップに参加しています。

5月のコロラド・スプリングスはまだ緑が少なく、雪が降ることすらあります。昼間は暖かいですが、朝晩は冷え込みます。

今回のワークショップは薬剤による防腐処理を施した(Fixed)2体のご献体を1体につき7人で6日間解剖するものです。昨年2023年には薬剤を使用せずに低温保存したご献体の解剖実習に参加したので、今年はFixedのクラスを選びました。Fixed Cadaverの解剖は組織が薬品により固定されているために、構造をより明確に観察することができます。どちらがよいということではなく、何を観察したいか、どのような体験をしたいかで選んでいます。

1日目の午前中はオリエンテーションで統合解剖学で解剖実習を行うための心構えについて、Hedley先生からお話しがありました。先生の解剖実習の基本は、「ご献体は私たちに学んで欲しいと願うドナーとその家族からの贈り物である」という感謝の気持ちを持つことです。先生はご献体を「ティーチャー」と呼んでいます。

今回の参加者は14名で、Institute for Anatomical Researchの所長のジムとカイロプラクターで地元のマッサージスクールで解剖をも教えているマダブが補助についてくれました。解剖実習の参加者はなぜか女性が多く、今回も14名中13名が女性でした。今回はロンドンからの参加者もいました。Hedley先生のワークショップのリピーターは私を含めて3名、他の先生の解剖実習に参加経験のある人も多かったです。指導者により異なる視点を得るというのも、重要な学びの経験となります。

今回のご献体は2体とも大柄な男性です。1体は鎖骨の下から腹部まで手術痕があり、開胸手術を受けたと思われます。もう1体も腹部に手術痕がありました。膝には恐らく人工関節置換手術の痕と思われるものがありました。ご献体はご高齢の方が多いので、ほとんどの場合、何らかの手術痕が見られます。

1日目はSkin layer(表皮と真皮)の解剖を行いました。

解剖の詳細はHedley先生の統合解剖学Youtubeビデオをごらん下さい。このビデオは20年前のものですが、基本は同じです。

Integral Anatomy, V1 pt1: Skin & Superficial Fascia: Learn Integral Anatomy with Gil Hedley

日本語字幕つきです。

最新の解剖ビデオ(Anatomy from A to Z)はhttps://www.gilhedley.comから月額15ドルで会員登録することにより閲覧することができます。(こちらは英語のみです。)

(つづく)

呼吸と肺の精緻な動き:ギル・ヘドレー博士と統合解剖学を学ぶ

統合解剖学の解剖実習の際に、しばしばご献体の肺が呼吸している状態でどのように動くかのデモンストレーションが行われます。肋骨前面を取り除いた状態で行うこともあれば、肋骨はそのままで、肋骨間の筋を除去し、「窓」を開けた状態で行うこともあります。

原理的には器官に管を通して、肺に空気を送ります。初めてこれを実際に見た人は、言葉を失うほどの感動を覚えると思います。私は実習に立ち合うたびに、このデモンストレーションを見ましたが、肺の状態による動きの違いに驚かされます。下記のリンクのビデオでは、かなり健康で美しい肺の動きを見ることができます。字幕はついていません。音声を消して動きにのみ集中してみてください。(当然ながらご献体の映像です。閲覧注意)ご覧になった後に、ためになったら、日本語で大丈夫ですので、コメント入れてあげてください。ヘドレー先生が喜びます。

Exquisite Lungs Breathing: Learn Integral Anatomy with Gil Hedley

真っ黒になった喫煙者の肺ときれいな肺を並べた映像を見たことがある方は多いと思います。非喫煙者でも大気汚染のある場所で人生を過ごした高齢者の肺には微細な黒いパターンが見られます。吸い込んだ微粒子が沈着したものです。胸膜が肋骨に癒着している肺は、肋骨前面を外す際に、胸膜がはがれるバリバリという音がします。本来は呼吸に合わせて滑るように動かなければならない肺の動きが阻害されています。慢性閉塞性肺疾患(COPD)の肺は一目でわかるような病変があり、この状態で呼吸することがいかに困難かを想像することができます。

専門の医師以外は直接見ることのない様々な状態を実際に観察することができるのも、解剖実習による学びの重要性です。

解剖学研究所の第1回オンラインサミット開催

Gil Hedley先生のホームベースであるコロラド州の解剖学研究所Institute for Anatomical Researchが2024年5月24-26日の3日間にわたり、オンラインサミットを開催します。英語のみですが、ファシア関係の研究で著名な先生方や、ファシアをボディワークに取り入れて独自のシステムを開発し、世界的に有名な方が数多く出席されますので、英語が分かる方には、ファシア研究をめぐる最新の動向をキャッチするのに最適の機会と思います。

参加費は1日25ドルからで、収益は非営利団体である研究所の設備投資や運営に充てられます。ぜひご協力下さい。

下のスピーカー以外にも、著名な方が次々と参加を表明して下さっています。スピーカーの多くはファシア学会に関与されている方々なので、ファシアに興味のある方にとっては1度に皆さんのお話を聞いて、今欧米で何が起こっているかを知る絶好の機会になると思います。

申し込みは:https://www.anatomicalresearch.org/events/online-anatomy-summit-fundraising-event-2024-05-26-10-00 から。

ゲストスピーカー:個人的に知っている方と実習中によく名前をきく方のみ日本語で説明します。

正式なプロフィールは以下のウェブサイト(英語のみ)で見てください。

https://www.anatomicalresearch.org/about-5

https://www.anatomicalresearch.org/copy-of-friday-guest-speakers

https://www.anatomicalresearch.org/copy-of-saturday-guest-speakers

Bonnie Thompson
コロラド解剖学研究所の創設者であるボニー・トンプソン先生はマッサージセラピストとして1994年にGil Hedley 先生の解剖実習ワークショップを受講して以来、ボディワーカーもアクセスできる解剖研究施設の必要性を感じ、非営利のコロラド解剖学研究所を創設しました。何度もお会いしましたが、パワフルで解剖学教育に情熱を持たれている方です。

Joe Phee
ジョー・フィー先生は日本でも有名な陰ヨガのインストラクター講座を世界中で開いています。彼女は中国医学の知識と、西洋の解剖学の知識を組み合わせたヨガプラクティスを実践されています。Gil Hedley先生の解剖実習ワークショップの常連として、何度もお会いしましたが、知識を得ることへの情熱にあふれた方です

Lauri Nemetz
ローリ・ネメツ先生は複数の大学で解剖学の教鞭をとっており、最近ファシアと運動についての著書も出版されています。ドイツのグーベンで行われたファシア・ネット・プラスティネーションプロジェクトにも関与し、独自の解剖実習ワークショップも主催されています。Hedley先生のワークショップで何度かお会いしましたが、素晴らしい解剖の技術です。日本人の生徒向け解剖実習を指導した経験もあります。

Leslie Kaminoff
レスリー・カミノフ先生は世界的に著名なヨガ指導者で、世界中でワークショップを行われています。日本語でも出版されているヨガ解剖学の本の著者でもあります。カミノフ先生はヨガと呼吸ついての深い洞察を持たれており、非営利のブリージング(呼吸)・プロジェクトの創設者でもあります。カミノフ先生はネメツ先生といっしょにヨガに焦点を当てた解剖実習ワークショップを実施されています。Hedley先生の解剖実習ワークショップで何度もお会いしましたが、かなりな日本通です。

Carla Stecco
カーラ・ステッコ先生は、ヨーロッパのファシア研究の第一人者であり、日本のファシア研究でも彼女の研究がしばしば引用されています。主にヨーロッパで解剖ワークショップを実施されております。

Dr. Joe Muscolino
ジョー・マスコリーノ先生は手技施術者のためのオンライン教育コースを構築されており、ひとつひとつの筋について、イラスト、実際の解剖画像、モデルを使って包括的な情報を提供されています。私はオンラインコースの日本語字幕作成を担当していますが、非常に緻密で正確な指導をされています。著書も多数あり、世界各国でワークショップを開催されています。

Dr. Madhav Gramke
マダブ・グラムケ先生はGil Hedley先生に師事するためにコロラドに移住されました。私は共にA2Zプロジェクトと神経解剖プロジェクトに参加し、ご自身の解剖実習ワークショップも開催されています。背骨のアナトミーに非常に詳しく、素晴らしい知見を持たれています。

Jim Pulciani
ジム・プルチアーニ先生は解剖研究所の所長で、鍼灸師でもあります。先生の解剖スキルには素晴らしいものがあります。東洋医学と西洋医学の両方の視点から、施術を行われています。朗らかな人柄で、研究所をささえています。

Rachel Scott
レイチェル・スコット先生はヨガインストラクターの教育コースを作成している、いわばヨガの先生の先生の先生で、解剖学的知識に基づいたヨガ指導をされています。私は、スコット先生のヨガ教師指導用教材の日本語翻訳を担当してますが、自分のヨガが格段に上達しました。

Hedley先生の北米111都市神経系解剖研究プレゼンテーションツアー

現在Gil Hedley先生はアメリカとカナダの111都市を回りながら、2023年に実施した神経系解剖のプレゼンテーションを行っています。このプレゼンテーションは医師はもちろん、手技施術を行うすべてのプロフェッショナル、ヨガ、ピラティス等のインストラクターを対象としており、免許更新のための条件となるContinuing Educationの単位も取得できます。さらに、「身体を所有しているすべての人」にお勧めです。

わたしは2023年の3月末に1週間神経解剖プロジェクトのお手伝いに参加しましたが、目からウロコが落ちる体験でした。ちょうど迷走神経を心臓から肺までたどっている段階でした。

円安の時代なので、渡米してまで参加されるのは難しいかもしれませんが、いつか機会があれば、ヘドレー先生を日本に招待して、日本でプレゼンテーションをする機会をセッティングしていただける方がいらっしゃることを切に望んでおります。

神経系の実際の解剖フッテージというのはなかなか見つかりません。また複雑な神経叢については、ダイアグラム化した図はお馴染みですが、実際の人体のイメージはそれほど多くありません。

Hedley先生のプレゼンテーションでは解剖の過程で次の神経がカメラで撮影されています。

  • 髄膜、脳神経
  • 皮神経
  • 自律神経の複雑な分岐
  • 神経叢とその神経節
  • 迷走神経の経路全体
  • 尾骨までの交換神経幹
  • 頸神経叢
  • 上腕神経叢
  • 腰神経叢
  • 仙骨神経叢

見てみたいと思いませんか?

ツアーについてはhttps://www.gilhedley.com

私の初めての統合解剖学ワークショップ(その1)

2014年に初めてGil Hedley先生の統合解剖学ワークショップに参加した時のメモが出てきたので、ご参考までにシェアしたいと思います。何も知らず、見るものすべてにドキドキした初々しいころの感想です。少々ポエティックですが、10年以上にわたる旅の出発点としてお許し下さい。医師や科学者でなくてもヘドレー先生の解剖実習から学ぶことは無限にあることを知っていただきたいと思います。ここ10年間に先生のワークショップも、私の見方も進化しましたが、根本的な部分は同じです。このワークショップは3週間にわたる特別実習でした。

2014年ワークショップ第1日

今日、私はある場所で(献体者の尊厳を守るために非公開となっていました)、「ファズスピーチ」で有名なGil Hedley博士と、私たちのご献体「トニー」に会いました。クラス全体の人数は約30人です。私のチームにはストラクチュラルインテグレーター(ロルファーとKMI)、ピラティスインストラクター、マッサージセラピストがいます。

これから私たちは1日8時間、週6日を3週間かけて、「トニー」と一緒に自分が何者であるかを学びます。

今日学んだこと:

  • 肌の色は表皮の厚みほどもありません。
  • ご献体を立たせると、彼らはより幸せそうに見え、より個人的なものに感じられます。
  • ご献体は腰の行くところに行きます。
  • 手と足は顔と同じように個人的なものです。
  • 慣れると、私の脳は手袋を通してのタッチに合わせて再調整され、直接触れた場合と同じように詳細な質感を感じることができます。

ヘドレー先生はご献体を「フォーム」と呼びます。

それぞれのフォームを立った姿勢にささえると、テーブルの上に横たわっているときには見えなかったストーリーが明らかになりました。 身体が空間をどのように占めるかは、その人自身の不可欠な部分です。 立っていると、より生きている状態に近く見えます。 ある女性のフォームは驚くほど背が高く、ダンサーのような足をしていました。 立っていると、彼女はより若く、より活発に見えました。 フォームの個性は、重力との相互作用によって形作られます。 物語は、空間における身体と重力の関係から生まれます。

Integral Anatomy Workshop は、手技療法士/ストラクチュラルインテグレーター/ボディワーカー/哲学者を対象とした、集中的で実践的な人体解剖ワークショップです。 医学部の肉眼解剖学の実習室の授業とはまったく異なります。

解剖は内省の行為です。 献体者からの贈り物の層を解くことで、参加者は自分自身の隠れた層を明らかにします。

Gil Hedley Ph.D
The Gross Anatomy Lab is  super clean.
解剖実習室はこんな感じです

肉眼解剖学研究室はとてもきれいです。カラースキームは次のとおりです。白っぽいリノリウムの床。 白衣。 黒いカウンタートップ。 黒い椅子。 オレンジ色のキャビネット、そして蛍光灯の下で輝くステンレススチールの数々。

私たちは、バックグラウンドで何らかの機械の音が鳴り続けるこの完全に人工的に消毒された空間で約 7 時間を過ごしました。

1日目は観察です。 メスは使いません。 私たちはトニーと長い時間を過ごし、手術痕などの表面の跡をメモしました。 学生のほとんどは何らかの手技療法士です。 私たちの関わり方は医学生とは明らかに異なります。 私たちは触れて共感を感じます。

Today I met the legendary Dr. Hedley, the Fuzz Speech Guy, and our cadaver “Tony” at an undisclosed location (out of respect to the donors).  Entire class consists of about 30 people.  My team includes two structural integrators (a Rolfer and a KMIer), a Pilates teacher, and a massage therapist.

I will spend 8 hours/day, 6 days a week, for three weeks to learn who I am with Tony.

What I leaned today:

  1. Skin color is not even epidermis deep.
  2. When you stand cadavers up, they look happier and you feel them more personal.
  3. Cadavers go where their hips go.
  4. An Invisible and inaudible bell works as well as a visible one
  5. Hands and feet are as personal as faces.
  6. Once I get used to, my brain re-calibrates for through-the-exam-gloves touch and I can feel detailed texture just like with direct contact.

Gil calls a cadaver human “form.”

Holding each form in the standing position revealed the story we didn’t see when they were lying on the table.  How the body occupies the space is an integral part of who they are.  Standing makes them look closer to the life.  One female form was surprisingly tall with dancer’s legs.  Standing, she looked younger and livelier.  Personality of the form takes shape through interaction with the gravity.  Narrative emerges from the relationship of the body with gravity in space.

Integral Anatomy Workshop is an intensive hands-on human dissection workshop for manual therapists/structural integrators/body workers/philosophers.  It’s quite different from medical school gross anatomy lab classes.

Dissection is an act of introspection. By unwrapping the layers of the donor’s gift, participants uncover hidden layers of themselves.  Gil Hedley, Ph.D.

The Gross Anatomy Lab is  super clean.
 The Gross Anatomy Lab is super clean.

The lab is super clean.  The color scheme is:  whitish linoleum floor; white lab coats; black counter tops; black chairs; orange cabinets, and lots of stainless steel glare under fluorescent light.

We spent about 7 hours in this totally artificial sanitized space with continuous humming of some kind of machines in the background.

Day 1 is for observation.  No scalpel.  We spent long time with Tony, taking notes of surface marks, such as surgical scars.  Most of the students are one kind of manual therapists or another.  Our way to relate is distincti